お知らせ
掲載日:2025/10/29|大分
大分県大分市で毎月10日にトイレの清掃パフォーマンスを実施する「大分圏清掃整理促進運動会」が第47回「サントリー地域文化賞」を受賞しました。遊び心を大切にしながら、メンバー各々の想像力と感性を磨く活動が、街の風景に緩やかな変化をもたらしている点が評価されました。
■「サントリー地域文化賞」とは
※贈呈式の様子
サントリー文化財団が、全国各地で展開されている芸術、文学、伝統の保存・継承、衣食住での文化創出、環境美化、国際交流などの活動を通じて、地域の文化向上と活性化に貢献した団体、個人に、毎年贈呈している「サントリー地域文化賞」。1979年の創設以来、第47回の受賞者を加えると250件を顕彰しています。
■街を舞台に繰り広げられる清掃パフォーマンス
※活動前のラジオ体操の様子
毎月10日の朝7時、大分市内の公衆トイレに白衣にマスク・腕章姿の集団が現れます。ラジオ体操のあと、無言で怪しく執拗にトイレを掃除したかと思えば、真面目な表情とおどけた表情の集合写真を2枚撮影し、何事もなかったように去っていく。一見すると奇妙なこの光景が、10年以上にわたり大分の日常の一部となっています。トイレ掃除のプロではない、市民による月に一度の"無駄な入念清掃パフォーマンス"です。
活動のきっかけは、2015年に大分市の主催事業として行われた「おおいたトイレンナーレ」でした。3年に1度開催される美術展「トリエンナーレ」と「トイレ」を掛け合わせた造語で、トイレにまつわるアートが街を飾り、市民参加型の多彩な企画が展開されました。
そのなかで、アーティストではない実行委員が「自分たちも何かしたい」と準備期間にあたる2014年から始めたのが「大分圏清掃整理促進運動会」。大分にゆかりのある前衛芸術家・赤瀬川原平が「ハイレッド・センター」の一員として、銀座の路上を白衣姿で清掃するパフォーマンスを通じて、過剰な美化意識を風刺した「首都圏清掃整理促進運動」から着想を得ています。
■街をさらに楽しむために、トイレを掃除する人への気づきと感謝を
※「祝祭の広場」での集合写真
「おおいたトイレンナーレ」終了後は新たなメンバーも加わり、現在は20代から80代まで、職業もバックグラウンドも異なる15名が市内各所の公衆トイレで清掃パフォーマンスを行っています。
彼らにとってトイレをきれいにすることは目的ではなく、街や公共施設を利用する人、日々清掃に携わる人への想像力を広げる手段であり、感性を磨く作業。「大分圏清掃整理促進運動会」のパフォーマンスはトイレを掃除する人への気づきと感謝につながっているのです。
身近でありながら話題にしづらいトイレと、ともすれば不要なものとして切り捨てられることもあるアート。しかし、「どちらも人が人らしく生きていくために欠かせない」という思いのもと、彼らの試みは街を舞台に繰り広げられています。
「意味はないけれど、意義はある」。自らの活動をそう語る「大分圏清掃整理促進運動会」の存在は、大分市の街の風景を変え、大分市民の街の見方を変えています。
これからもサントリーは、日本の地域文化を応援していきます。
▼関連リンク
・サントリー文化財団「地域文化賞」のサイト
・第47回「サントリー地域文化賞」決定(ニュースリリース)
| 対象都道府県 | 大分 |
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