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掲載日：2025/10/29｜岩手

【第47回サントリー地域文化賞】学校の枠を越えた「地域の部活動」として、広く歌声を届ける「北上ミューズコーラス隊」（岩手県北上市）

岩手県北上（きたかみ）市の小中学生約30人からなる合唱団「北上(きたかみ) ミューズコーラス隊」が第47回サントリー地域文化賞を受賞しました。その音楽活動は保護者たちが手作りの運営で支え、子どもたちの豊かな感性を磨くとともに、県内外に広く歌声を届けてきました。部活動の要素にとどまらず、地域の芸術活動としてさらなる発展を遂げてきた点が高く評価されました。

■「サントリー地域文化賞」とは

※贈呈式の様子

サントリー文化財団が、全国各地で展開されている芸術、文学、伝統の保存・継承、衣食住での文化創出、環境美化、国際交流などの活動を通じて、地域の文化向上と活性化に貢献した団体、個人に、毎年贈呈している「サントリー地域文化賞」。1979年の創設以来、第47回の受賞者を加えると250件を顕彰しています。

■県内外に広く歌声を届ける「北上ミューズコーラス隊」

※第20回定期公演 オペレッタ「ダビルバとゾホロデ」

1999年、北上市主催の合唱講座として始まった北上ミューズコーラス隊。子どもたちが合唱を楽しめる場を作りたいという思いから、地元の公民館と市が協力し、小学生16名からなる「ミューズコーラス隊」を結成。初めての合唱コンサートで、地元住民と保護者の胸を打ち、これをきっかけに、隊員たちの保護者による父母会が結成されました。そこから、県内外から合唱やミュージカルの指導者を迎え入れるようになり、活動の場を広げてきました。2002年、市主催の講座は終了したものの、父母会が運営を継承し、今も精力的に活動を続けています。

毎年欠かさず開催してきた定期公演では、10曲前後の合唱に加え、1時間に及ぶミュージカルやオペレッタも披露。その実力は全国トップレベルを誇ります。会場の設営や当日の運営は父母会が行い、マニュアルなどを整備して子どもたちの晴れの舞台を支えています。そうした手作りの活動を応援する人たちも多く、今では地域のイベントにも数多く招かれ、地域住民との交流を図るとともに、子どもたちの経験を積む場となっています。

■学校・学年の枠を越えた「地域の部活動」

※「合唱コンサート2019」の様子

一時は、少子化の流れもあり、隊員の数は減少。しかし、北上ミューズコーラス隊が部活動として一部の地元中学校から認められたことで 、中学生の参加者が増加しました。

これは、地元中学校には合唱部がないため、保護者が「北上ミューズコーラス隊を学外の部活動の受け皿になってもらいたい」と各中学校と交渉し、実現したものです。この活動は部活動を学校単位から地域単位の取り組みとしていく「部活動の地域移行」のお手本とされています。指導者がくるのは不定期であるものの、父母会の音楽経験者のサポートや、子どもたちだけで行うパート練習を通して、練習量と質を維持。その結果、合唱団としての実力を着実に伸ばし、2024年に出場した第91回NHK全国学校音楽コンクール・中学校の部で金賞を受賞しました。

発足から20年以上、音楽に関心を持つ地域の子どもたちの受け皿となりながら、部活動の要素を取り入れ、さらなる成長を遂げた北上ミューズコーラス隊。今日も高らかに、子どもたちの歌声は全国に響き続けています。

サントリー文化財団は、今後も「サントリー地域文化賞」等の取り組みを通じ、日本の地域文化の向上をサポートしていきます。

▼関連リンク
・サントリー文化財団「地域文化賞」のサイト
・第47回　サントリー地域文化賞決定（ニュースリリース）